第四話:ターゲットロックオン

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シド・ジャック♂:


本編主人公。

きちっとした身なりに丁寧な言葉使い、探偵事務所に勤務するメカクレの好青年。

優れた教養に加え、教材にしてもいいレベルの流暢なイギリス英語で話す異国からの来訪者だが

その裏の顔は 霧の夜に現れる怪人、ジャックサリッパー。

1メートルはあろう禍々しい鉤爪を有した異形の左腕を揮い 闇を駆ける人外の者である。



ミランダ♀:


赤と黒を基調にした独特なメイド服でシドの世話を焼く謎の使用人。

料理の腕は王宮コックレベル。 スイーツもしかり。

シドに嫌味二歩手前なツッコミを連発するが、全面的に彼を支える姿勢を崩さない優秀な家守。

主の一声で何処からともなくありとあらゆる拷問器具を顕現させる手品師のような能力を持つ。

よく見ると物凄い美少女である。



アルフ♂:


月光の下、夜を跋扈する人狼族。

ルーシーを助けに駆けつけたシドが割って入るカタチで初対面を果たし

シドには腹を抉られ、ミランダには拷問フルコースをお見舞いされた不憫な男。

騒動の後 彼らを自らのアジト"黒曜の薔薇"へと招く。

喧嘩を売る相手が悪過ぎたが、ミランダのフルコースを耐え抜く驚異的なタフネスに加え

突出したスピード、膂力、惨忍性を具える殺しのエキスパートである。



ダニエル♂:


義賊団"黒曜の薔薇"にて研究と作戦指揮を担うブレイン。

烈火の如く回転する口と頭脳が良くも悪くも彼の持ち味。

表立って作戦に参加する事はないが、卓越した情報収集・処理能力に加え

多少の医術の心得もある 優秀なサポート要員である。

亜人でもない彼が何故"黒曜"に所属し、悪を裁いているのかは謎。



レイラ♀:


"黒曜の薔薇"では主に偵察と交渉を担当しているという謎の美女。

常に斜に構えて人に接する、云わばツンなお姉様である。

鋭い観察眼を持ち ダニエルとは違った視点で独自の考察を展開する。

戦闘要員でもあるらしいが、その正体は果たして―――



フランク不問:

"黒曜の薔薇"のメンバーの美少年。

奴隷として売られ、非情な成金の見世物にされた挙句一度は命を落としたものの

ダニエルの必死の蘇生術により ホムンクルスとして第二の人生を歩み始めた。

身体組織の完全再生が可能な為、自ら望んで危険な任務を買って出ている。

何やら並々ならぬ生い立ちを予感させる美少年。 ―――美少年。



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シド♂:

アルフ♂:

ダニエル♂:

ミランダ♀:

レイラ♀:

少年・フランク不問:


321台本


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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




【黒曜の薔薇拠点より少し離れた場所に位置する、木々に覆われた草原に出向く一行】




ダニエル:

…よし着いた! 此処なら多少叫ぼうが殴り合おうが爆発しようが何しようが

ぜ~~んぶ森のざわめきが消してくれるんだ!


ミランダ:

多少とは…。


レイラ:

この人ね、発明過程で色々とやらかすから

こういう場所が不可欠なのよ。


アルフ:

前も人体を安全に拘束する装置を作るだなんだーってンで 試作品試しに来たらよぉ…

ホラ、そこ見てみ。 クレーターがあンだろ? そーいう事。

マネキンなんて跡形もねぇさ。


シド:

エキサイティングな拘束装置ですねぇ、いずれお目に掛かれるのを楽しみにしておきますッ(笑)


アルフ:

……アンタ、何でも肯定すンのな。


ミランダ:

何か不服でも?


ダニエル:

アルフはシドの旦那は良い人だな~って言ってるのさッ

素直じゃないからね、この男!


アルフ:

お前ホント黙れ? もの凄くデケェ月見えてますケド? ※後半ライカン状態の声で


ダニエル:

マジ勘弁ッ 悪かったって!!(笑)

さてレイラ、お願いできるかな??


レイラ:

ええ。

…卿とミランダ嬢は、メドゥーサにどのようなイメージを?


シド:

そうですねぇ… 麗しきゴルゴン姉妹の三女、その美貌は見る者の心を奪い

動けなくなった人々は まるで石像のようだったとか。

だが、嫉妬に駆られた女神によって美しい髪は蛇と化し 視線を交わした者を悉く実物の石にしてしまうという呪いを受ける。

最期はパーシアスに首を絶たれ、溢れ出る血から天馬が生まれ かの医神は蘇生の秘薬を作り出した―――。


ミランダ:

非常に物語性のある悲劇の魔女という印象ですね。

ご主人様以上の知識は持ち合わせておりません故、以上が全ての回答となります…。


ダニエル:

旦那ってば博識だよねぇ~ッ 天は何物与えてるのやら。。

僕も絵の才能欲しかった…!くぅぅぅ~ッッ


アルフ:

お前の絵は相当だもンなぁ、ジョコンダが裸足で逃げ出すゼ。


レイラ:

卿の語った内容はまさしくメドゥーサの逸話だけど

私が"銀のドーム"で注入されたゴルゴン因子は、オリジナルのような変化を齎すモノではなかったのよ。


シド:

!!!


ミランダ:

? ご主人様、如何なさいました?


シド:

……何でもない。 失礼、続きを。


レイラ:

此処まで足を運んで貰ったのは 私の"力"を御覧に入れる為―――。

マギア・キルクーム・イグズィステ…


シド・ミランダ:


ミランダ:

幻想的な美しさですね…。


レイラ:

フェノーテ… ヴラフォス! ※翳した手が光を発した途端、眼前に身の丈を超える岩石が出現


シド:

ほう…。


レイラ:

私のデミ・カーズドは、手の届く範囲に数トン程度までの石を生成する能力 そして、、、

オーレ… トゥロス! ※拳を握り込むと岩石が瞬時に砕け散る

、、、その石を破砕する力。


シド:

これはこれは、はたして称賛して良い事なのかどうか判断が難しい所ですが

素晴らしい疑似魔法です! 応用も利きそうですし… それに何と絢爛な事か。。


ミランダ:

ええ、虹色に光り輝く美しい髪です。


レイラ:

お気遣い感謝するわ。 でもこの力はわりと気に入ってるし、純粋に嬉しくてよ。 ※魔風が収まり元の黒髪に戻りながら

蛇の髪の因子が宝石のように七色に光る作用を起こすとはね… 最初は私自身も驚いたわ。

ま、逆に誰にも気付かれずに能力を発動するのは不可能に近いのだけれど。


ミランダ:

デイムのゴルゴンの力と其方の番犬、お二人を以ってしても

目的を遂げる事が困難な程の壁なのですか、貴方がたの敵は?


ダニエル:

そうだねぇ… 正直、旦那がたの助けを借りて五分―――

確実に優位を獲るならばあと一つ二つ、此方につけたいところだねぇ。。

あちらさんの勢力は ざっと見てロンドンの半分を占めてる

決して楽な闘いじゃあない。


ミランダ:

ダニー、それは余りにもご主人様の御力を侮―――ッ ※シドに制止される


シド:

…銀のドーム。 700年代初頭にかの地に生まれた遠隔のモスク、其れを本拠地とし

長きに渡る"リ・コンクエスト"運動に貢献した一大騎士修道会がある。

赫き十字架を掲げ 其の団結力と士気の高さ、有り余る財源を武器に

当時最強の名声を恣にしてきた誉れ高き"貧しき戦友たち"―――

通称、、、神殿騎士団。


ミランダ:

! ……なんと…。


シド:

歴戦の勇士、高潔なる規律、神の遣わせし従僕たち…

気を引き締めなければならないのは此方のようだよエリザベート。

驚嘆に値するビッグネームだ、ダニーの懸念は至極当然の事さ。


ミランダ:

、、、仰るとおりと存じます…。


ダニエル:

…旦那には全て御見通しのようだね、、、

そう、たとえ貴方が"かの存在"だった事を考慮したとしても 聊か分が悪い。

今の状況で事を起こしたとて 到底僕らの悲願は成し遂げられない…。

しかしだ! 万夫不当の戦力と巡り合えたという事実に変わりはないッ

それに此方には、政治的に全てをひっくり返す決定的な切り札も有る。


アルフ:

ああ… そうだな。


シド:

切り札、ですか。


ダニエル:

うん、その時が来たら 改めて説明させてもらうよ…ッ

さぁ一端向こうに戻るとしようか!

流石に話し続けるには此処は寒いからねッ


レイラ:

そうしましょう、彼も"起きてる"かもしれないわ。




【再び"黒曜の薔薇"拠点1Fにて】




ダニエル:

、、、さぁ今度は山菜から抽出した紅茶を入れようか!

レイラはあんまり好きじゃないみたいだケド、僕は結構癖になr… っとぉ。。


少年:

おかえりなさい。 …誰?


ダニエル:

やぁフランク! 再生措置が完了したんだね、今回もお疲れ様ッ


ミランダ:

ダニー、彼が…「彼」なのですね?


ダニエル:

ああそうさ、彼の名前はフランク。 メアリー・シェリーに肖って僕がつけた名前だッ

ワケあってまだ本名は明かせないケド 彼が僕たちのエース イン ザ ホールさ!


シド:

お初にお目にかかる、私はシドルファス 此方はミランダ。

今宵より、貴方がたオブシディアンローズと協力関係となった者です

以後お見知りおきを!


ミランダ:

宜しくお願い申し上げます。


フランクと呼ばれた少年:

え――― あ、ど どうも。

…えっと、この人たちがダニーの言ってた…?


ダニエル:

そのとおりッ 僕らの救世主、頼もしい新メンバーさ!


フランク:

あのアルフが手も足も出なかった?


ダニエル:

またまたそのとおりだよッ あのアルフを完膚無きまでに叩きのめし

文字通り"負け犬"たらしめた規格外の猛者たちだ。

キミがエース イン ザ ホールならば 彼らはジョーカー、まさしく最強のカードさッ!


アルフ:

もうやめろ? 泣くぞ??


フランク:

お噂は色々聞いてます、僕はフランクです。

オブシディアンローズのメンバーに入れてもらってます

よろしくお願いします。


シド:

こちらこそ! 皆さんにはとても良くして貰っています。

フランクとお呼びしても?


フランク:

もちろんです シドルファスさん、ミランダさん。


シド:

有難い。 フランク、今更驚きもなさらないと思いますが… 我々は亜人です。

したがって貴方の身体に血が通っていない事が判ります。

ダニーから少し話を伺いましたが、貴方はホムンクルスなのですね。


フランク:

ええ、おっしゃる通りです。

僕は一度尽きた命を ダニーに助けてもらい

ホムンクルスとして再びこの地に立ててるんです。

脊髄に埋め込まれている"コア"が無事な限り

時間は掛かりますが、身体組織はいくらでも治す事ができますので

危険な任務がある時は なるべく僕に行かせてもらってます。


シド:

進んで自ら危険な役割を担われるとは、、、

とてもご立派です…ッ


フランク:

え… あ、ありがとうございます

少しでもみんなの役に立ちたいので。。(微笑)


シド:

しかしながら… 悪戯に貴方に御身を酷使していただく愚は避けたいところですねぇ。。

ダニー、先程おっしゃっていた『味方につけたい勢力』について

詳しくお話しを伺っても?


ダニエル:

もちろんさ! ちょっと待っててねーッと あれ、どこだっけ

え~~と…… あ、トイレだ!! ※点在している資料を漁った後突然走り去る


アルフ:

アイツす~ぐ便所で考え事すっからなァ。


レイラ:

それ以前に汚いわよ、もう…ッ




【テーブル上、様々な情報が殴り書きしてある大判のロンドン地図を全員で囲んでいる】




ダニエル:

さてと! まずはマップの説明だねッ ※指示棒を伸ばし説明を始める

僕らの今居る拠点が此処。 あ、せっかくだし黒く塗ってる(笑)

え~と、これが工場跡まで戻る道だねぇ… んで、ナショナルギャラリーより北になってくると

色んな条件によって細かく色分けしてるんだ!

まず確実に敵勢力だと判明している建物は赤い色、国が絡んでる国家機関は緑色に塗り潰してる。

その他二か所以外は特に色分けはしてないケド、解る範囲でメモを書き込んでるよッ


ミランダ:

大変豊富な資料ですね…。

これだけの情報を調べ上げるのには長き年月が掛かった事と存じます。


ダニエル:

まぁそれなりに大変だったかもねぇ~、危ない目にも沢山あったし(苦笑)

でもこればっかりは僕が直に出向かないと作れないからさ…ッ

それで、此処と此処… 二か所だけ青く塗ってあるだろう?

一つはブリッヂが一望できる絶好の場所に聳える、ロンドンが誇る高級ホテル"ロイヤルシャードロンドン"

もう一つがテムズ川の畔にある巨大老舗パブで

成金からジプシーまで様々な連中が 昼間っから飲んだ暮れてる名所"ジ エコロジー オブ ハインド"、通称牝鹿の塒さ!

フランクとレイラの調べによると、孰れも組織のトップは亜人で間違いなく

どっちに転ぶか判らないケド まだ敵の息はかかっていない中立状態らしいんだ。


ミランダ:

では まずはこの二組織に交渉するのが当面の成すべき事、ですか。


ダニエル:

そう、そのとおりさッ

一つでも引っかかってくれれば、局面は大分此方に傾く。

仮に後に敵対する事になったとしても あちらさんのスペックがある程度解るからね!

ただ… もちろん危険はバッチリ伴うワケだけどさぁ。。(汗)

、、、フゥ~~ なんか緊張してきたぞ!? ※落ち着かない様子でレイラに赤土珈琲、他メンバーに山菜紅茶を用意し始める


シド:

周りを固めてから一気に攻め滅ぼす―――

とってもワクワクしてきました! ウフフ♪


ダニエル:

いやはやなんとも… この状況を楽しめるとは、流石は旦那だ。。(苦笑)


アルフ:

まずはどっちに出向くンだ?


ダニエル:

そうだね、最初は"牝鹿の塒"に向かうとしようかッ

あそこは人目に付きやすいし いざとなったらヤードが近いからね!


アルフ:

それ俺行けねェじゃねーか!


レイラ:

なら貴方は今回は留守番ね。


アルフ:

ちぇ! つまんねーの…ッ ※不貞腐れてソファーにごろ寝する


ダニエル:

あははッ 名誉挽回のチャンスなら幾らでもあるさ笑

じゃあ決行は来週末、皆英気を養って張り切って行こう!

…さぁ準備完了!

各々方カップをお取りいただきぃ~…

それではッ まずはハインド攻略を願って――― 乾杯!!!


アルフ以外:

乾杯ッ!





To be continued

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